ブログを運営している者にとって、最も大きな利点は「自由に書けること」だ。自分の考えや感じたことを発信し、それを誰かが読んでくれる。これはインターネットがもたらした最大の恩恵のひとつと言えるだろう。だが、この自由が今後も続くのかと問われれば、正直なところ、疑問を抱かざるを得ない。
特に、台湾有事のような重大な国際的緊張が現実味を帯びる中で、情報統制が強まる可能性は十分にある。戦時中の日本がそうであったように、国家が「安全保障」を理由に言論を制限することは歴史上、幾度となく繰り返されてきた。では、現在の日本において、どこまで情報の自由が守られるのか。それを考察してみたい。
台湾有事が現実になったとき、日本はどう動くのか?

近年、台湾をめぐる情勢は一段と緊迫している。中国は台湾を「不可分の領土」とし、軍事的な圧力を強めている。アメリカは台湾を支援する姿勢を崩しておらず、日本も防衛上の観点から深く関与せざるを得ない。
もし台湾有事が発生すれば、日本が巻き込まれる可能性は極めて高い。台湾海峡のシーレーン(海上交通路)は日本の経済にとって生命線であり、中国がそこを封鎖すれば、エネルギー供給や貿易に深刻な影響が出る。また、日米安保条約のもと、日本は在日米軍基地を通じて間接的に戦争に関与することになるかもしれない。
このような事態になった場合、国内では「国民の団結」が求められ、それと同時に「不要な混乱を避けるための情報統制」が行われる可能性が高い。
戦時中の日本における言論統制の歴史
日本における本格的な情報統制の例として、戦前・戦中の大本営発表がある。戦局が悪化しても「勝っている」と国民に信じ込ませるために、政府は都合の悪い情報を隠し、国民を動員した。新聞やラジオの報道は厳しく検閲され、軍にとって不都合な記事を書けば処罰された。
また、一般市民の発言も監視されていた。隣組制度が作られ、住民同士が互いに監視し合い、戦争に反対する者を通報する仕組みまで整えられた。
こうした状況を考えれば、台湾有事が発生した場合、日本政府が「国民の士気を下げる情報は規制する」といった方針を打ち出す可能性は十分にある。現在の法律ではそこまで露骨な統制は難しいかもしれないが、「緊急事態」に対応するための特別な措置が講じられれば、状況は一変するだろう。
現代における情報統制の可能性
では、もし台湾有事が発生した場合、日本における情報統制はどのような形で行われるのか?
考えられるのは、以下のような手法だ。
- SNSやブログの規制強化
戦争状態に突入すると、国民の動揺を防ぐため、政府がインターネット上の発言を厳しく取り締まる可能性がある。すでに中国では「国の安全を損なう」内容が検閲されており、日本でも類似の仕組みが導入されるかもしれない。 - 報道機関への圧力
現在でも、政府がマスメディアに対して間接的な圧力をかけているという指摘はある。戦時になれば、報道内容がより厳しく制限される可能性は高い。「戦争に反対する報道は国益を損なう」とされ、一定の方向に世論を誘導することも考えられる。 - 国家安全保障を理由にした監視強化
非常時には、国家安全保障を理由に個人の通信記録やSNSの投稿が監視されることもあり得る。現在でもテロ対策の名目で監視システムが導入されているが、戦争状態になればその範囲が拡大する可能性がある。 - フェイクニュース対策の強化
「フェイクニュース対策」という名目で、政府が不都合な情報を削除することも考えられる。現代では「事実であっても、政府にとって都合が悪ければフェイクニュース扱いされる」ケースもあり、これが戦時中になればより顕著になるだろう。
個人ブログはどうなるのか?
こうした状況になれば、個人が自由に情報を発信できる環境は大きく制限される。特に影響を受けるのは、ブログやSNSだ。
戦時になれば「国民を動揺させる情報は拡散しないように」との指導が入る可能性があり、政府が「不適切」と判断した内容は削除されるかもしれない。また、特定のキーワードに対する検閲システムが導入され、過激な発言をすればアカウント停止や罰則の対象になる可能性もある。
私たちは何をすべきか?
このような未来を完全に防ぐことは難しいかもしれないが、少なくとも今のうちに考えておくべきことはある。
- 情報を多角的に得る
一つのメディアだけでなく、さまざまな情報源からニュースを確認する癖をつける。 - 海外の視点も取り入れる
国内の情報が統制された場合でも、海外メディアの報道をチェックすることで、より客観的な視点を持つことができる。 - 発信方法を工夫する
もし情報規制が強まった場合、あからさまな言葉を避けつつ、本当に伝えたいことを別の形で表現する手段を考える必要がある。 - オフラインでの情報交換も重視する
インターネットが制限される可能性を考え、対面での議論や書籍などのアナログな手段も大切にする。
おわりに
ブログを書く自由は、当たり前のように思えるかもしれない。しかし、それは平和な時代だからこそ許されているものだ。台湾有事のような大規模な国際紛争が起こった場合、この自由は一瞬で失われる可能性がある。
だからこそ、今のうちに「自由な言論を守るために何ができるか」を考え、行動しておくことが重要だ。
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